今は好きだが、小さい頃は嫌いだったこと。

今は好きだと言えるサウナだが、小さい頃は、大っ嫌いだった。

 

家から車で10分の所には、昔ながらの銭湯がある。当時は、”千と千尋の神隠し”が流行ってた頃であり銭湯へ行くとなると、色々な神様が湯船に浸かっているシーンが思い浮かんでいた。
券売機で入浴券を購入し番頭へ渡す。ロッカーに入りやる事は、コインロッカーの所に100円を忘れていないかの確認だ。今思うと卑しい行為だが、当時の僕は気にせず、風呂上がりのゲームの資金にしようと考えていた。

 

入浴のルーティンはいつも決まっている。かかり湯を行い、体を洗い、浅い風呂に入る。この流れだ。当時は、今ほどサウナは流行っていなかったのだが、利用する人は少なくなかった。個室に入り、大人達が汗だくになり、水風呂に入り、再度サウナに入っていく。

「なぜ、そんなに汗だくで出てきて、何回も入っていくんだ」

「この個室の中には一体何があるだ」
と小さな僕は思い。サウナに対し興味がわいていた。

 

小さな僕は、大きな木のドアの押し、異様に熱い個室に入る。入った瞬間に感じたことの熱気、鼻で息を吸い込むと熱気で鼻が熱くなりジーンとする。部屋の中には、12まで記載された数字の時計は、長針が進むのが異常に早い。テレビはニュースばかり。小さい僕にとっては、デパートに連れて行かれるくらい退屈だった。結局、数分も持たず2分ほどで出た。
サウナの中を調査したが、目ぼしいものは見つからず。

 

次は、水風呂に入ってみる。おそる、おそる片足よりつけて行くが驚く程に冷たい。
学校のプールより、これは冷たいなと思い、進まない自分を鼓舞し一気に入ることを決意する。何かに飛びかかるかのような勢いで入り、寒さに耐えきれず、何かから逃げるように水風呂より飛び出す。結局何が良く、何がいいのか分からずじまい。
大人になり気づくのだが、サウナ、水風呂の続きには外気浴というものがあったということを、、

 

時が経ち、現在ならあの大人達がこぞってサウナに入る理由がわかるような気がする。
90度にもなる過酷な環境に身を置き、数分間耐える。その後は、再度10〜20度になる水風呂に入り更なる苦行。その後に、待ち受ける外気浴は”圧倒的開放”。この快楽こそがあの大人達を、過酷な部屋へと誘っていたのではなかろうか。